「素晴らしいファミリーフォト」=「おしゃれなスタイリング」?

いつからだろう、「素晴らしいファミリーフォトを撮る」の定義が、「おしゃれなスタイリングをする」ということにすり替わったのは。

 

昨今、リノベーションやDIYブームが巻き起こり、

フォトスタジオも、「白背景の写真館」から「自然光で撮るハウススタジオ」が主流になってきている。

そうすると何が必要になるかというと、背景や空間を考えるということだ。

今まではバック紙を出して、どんなライティングにしようかを考えていればよかった。

でも今は、どんな背景にしてどんな小物を使って、どんな衣装を扱うか、ということがフォトスタジオで働く人たちの一番の関心事になっているように思う。

写真イベントのフォトネクストに来ても、写真表現を追求しようというよりも、おしゃれな背景セットや小物の紹介で終わってしまっている。

 

もちろん、どんなおしゃれな写真が撮れるかということをスタジオ探しのポイントにしている人も多いので、

スタイリングは大切なスタジオ運営要素の一つだ。

作風に大きく影響するし、世界観を表現するためには考えなくてはならないことなのは間違いない。

ただ、それと同じくらい、写真についての議論があればいいのだけれど、

あまり盛り上がっているのを知らないし、そういう場も少ないと思う。

 

僕も四年前に初めてフォトスタジオを作った時は、わからないことだらけで、とにかくおしゃれとはなんだと考えながら流行の内装を色々と真似した。

人気のおしゃれフォトスタジオを真似すればお客さんがくるだろうと。

 

でもそれから四年たった今、内装は極力シンプルに、その家族を邪魔しないものがいいと思うようになった。

スタジオに貼った派手な輸入壁紙は早く剥がしたいともこっそり思っている。笑

 

手の込んだ背景で写真を撮った後に思うことは、「この家族にとって、このレンガ調の背景は何の意味があるんだろう」ということ。

自分がおしゃれだと思って作った背景は、この家族にとってたいして深い意味はないのに、主張はすごい。

 

この写真は、家族がそっくりそのまま他の家族に替えれらる写真なんじゃないかと。

自分が撮っていたのは、この家族じゃなくて、おしゃれな背景だったんじゃないかと。

 

本当は、被写体となる人たちが主役となるような背景にしないといけないはずなのに、逆転してしまっている。背景で完結してしまっている。

フォトスタジオは、被写体が入って初めて完成する空間でなければならないはずだ。

 

そんな思いを抱えながらスタジオ運営をしていく日々。

でも、そうしたどこかコンプレックスのような思いを見事に打ち砕いてくれたのは、雑誌で活躍する売れっ子フォトグラファーではなく、成長した自分のスタジオのメンバーたちでした。

クッポグラフィーのファミリーフォト
その家族だけの瞬間を
横浜のフォトスタジオ

 

その家族にしかない瞬間。

その家族だからこそ見れる表情。

家族同士の距離感を絶妙に表した写真。

 

そうした瞬間瞬間をそっと演出する、リラックスできる空間。

いつもの自分たちでいられる環境。

 

そう、フォトスタジオに一番必要なのは、おしゃれな空間ではなく、その家族がいつも通りの自分たちでいられる空間だったんだなと、自分のスタッフたちから教えてもらいました。

 

あなたは、何のために写真を撮っていますか?

おしゃれでいけてるフォトグラファーをしてる自分に酔いたいため?

おしゃれなスタジオを運営しているのすごいでしょと自慢したいため?

 

クッポグラフィーは、その家族にしか見られない瞬間や関係、お互いを思い合う気持ち、そうした形に見えないものを写真という形にして、

それらが記憶から消えてしまいそうになる5年後、10年後、あるいは子どもたちが結婚して生い立ちを振り返る30年後に、

「あぁ、自分たちは愛されてたんだな」「そうそう、うちの家族はやっぱりこうだよね」ということを伝えるために、写真を撮っています。

 

おしゃれにスタイリングすることは決して悪ではなく、大切な要素の一つだけど、

僕らはインテリアコーディネーターではなくて、あくまでフォトグラファー。

僕たちにしかできないことは、スタイリングではなく、写真なんだということを改めて胸に刻んで、また明日から写真と向き合っていきたいと思います。

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2018年8月21日(火)・22日(水)

クッポグラフィー久保と折原による、プロ向けのウェディングフォト・ワークショップを開催!

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http://www.masatokubo.com/basic

Masato KuboComment